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子どもブログ

京都で教育を学ぶ大学生が子どもや教育に関することを中心に書きます

保育園が抱える問題。なぜ待機児童は解決されないのか。

昨今話題の保育園の問題について

話題になっている背景を簡単に述べると、少子化による保育ニーズの減少の割合より、女性の社会進出などによる保育ニーズの増加の割合が高まっており、少子化なのに保育園が足りないという事態が起きています。

その問題は以前から言われていますが、いまだに解決できていない理由をいくつかまとめていきます。
(もちろん地域や運営主体によって変わりますが一般的な例として書きます。)


1.そもそも保育園という事業は儲からない。

保育園が増えないとして市場原理が働かないことがあげられます。
保育園の支出は労働集約型なのでおよそ人件費と物件費がほとんどをしめます。そして収入は園児からの保育料+国・自治体からの補助金です。

当たり前に収入>支出だと儲かるのですが、保育料は認可園の場合、自治体によって決められていて園の裁量で変えられません。またその保育料も福祉的な側面があるので、つまりそもそも経済的にしんどいから親が働かねばならず子どもを預けているという前提があるので、自治体も保育料をあげることができません。
つまり収入は基本的に国・自治体に依存しています。

保育料は在園児の人数によって変動するので、地方の過疎地域の園では人気のある園の方が収入が豊かになりますが、都市部の待機児童が発生している地域では認可園だとほとんど質に関わらず定員数=園児数になります。
保育園に関わらない、若い世代や幼稚園に通わせる方は知らないことが多いのですが、認可保育園は保護者が自治体に第一希望、第二希望...といったように希望を提出し、自治体が保護者の収入などの状況を見ながら振り分けるという形式です。
つまり都市部では結局希望度が低くてもそこに回されるので、保育園の質があまり関係ありません。

保育士の待遇の問題があげられているの原因はまさにここで、収入が一定なので儲けを出すためには人件費を削るしかなく、低賃金になっているというのが現状です。


2.保育士は自分の価値を高めていくのが難しい。

それではなぜ人件費を削られてしまうのか。それは保育士の能力・価値を評価する指標、評価を待遇につなげていく仕組みがないからです。

例えば進学校の先生や有名塾の講師などはそれがあります。「授業が上手い先生」というのは生徒からの評判や進学実績などで評価されます。さらにそれが昇進にもつながっていきます。

保育士の場合、子どもは乳幼児期なので先生がよいか悪いか評価できないですし、子どもによい保育をしたかどうかも長い期間で評価をしなければならず外部の変数もたくさんあるのでわかりません。
つまり、保育が上手い先生と下手な先生の違いが測れないということです。

幼児教育・保育の評価というのは教育学・保育学でもずっと考えられ、効果測定の難しさを打開できずにいます。

そのため昇進というものもあまりなく、ずっと安い賃金のままであるということがあげられます。


3.潜在的なニーズが大きい。

上記のような難しさを乗り越えて保育士を増やし、保育園を増やしたとしても待機児童が解決できない理由として、潜在的なニーズが大きく、どんどん顕在化してくることがあります。

つまり、「申し込んで認可園に入れない(=待機児童)」の十倍近く「預けたいけどどうせ無理だから申し込んでいない(=潜在待機児童)」がいて、待機児童が解決されればされるほど「私もあずけたい」という人が出てくるということです。

そのため待機児童の問題は現状おわりなく続きます。


4.当事者期間が短い。

これは保護者からの視点になりますが、当事者として保育に接する期間が短いことがあげられます。

現在、保育に関する問題について実際の保護者の方々が運動を起こしていますが、それが個人にとって一過性のものになってしまうことが保育の問題の特徴です。

自分に子どもができて「保育園に入れない。困る」と思って運動を起こしてもせいぜい3年から5年で当事者ではなくなってしまいます。
他の社会問題(介護・防災など)は長期間・無期間に渡って重要になることが多いのですが、保育の問題は当事者が速いサイクルで変わってしまうので、運動の主体が続かないことが多いです。



5.今作りすぎてもだめ

最後に、保育園が足りないのに増えない理由として、今つくりすぎてもだめということがあります。

冒頭述べた通り、現在は少子化による保育ニーズの減少割合<女性の社会進出による保育ニーズの増加割合が大きいので保育園が足りないのですが、近い将来前者が上回り保育園があまり、子どもを奪い合うことが予想され、事業者は安易にハコを増やすだけではだめということです。



以上の5点は理由の一部にしか過ぎませんが、これだけでも保育の問題がいかに難しいかがわかります。
個人的にはハード(ハコ)や補助金で解決するのは持続可能性がないので、ソフトの面、つまり保育の内容、仕組み、保育士の価値にカギがあるのではと思っています。