「流行」について
卒論の合間に何か書く。
卒論は、芭蕉の言う「不易流行」で言うならば、「不易」の部分、つまり22世紀まで生きる子どもたちの保育・幼児教育を考えるにあたって、100年後も変わらないものってなんだろうな?という問いのもと、「子どもの人間学」を研究しているわけです。
今回は少し「流行」の部分を考えてみたい。
①教育の「流行」
昨今の教育のトピックは?と言われると、次期学習指導要領やそれに関する教育改革をあげるひとが多いように思われる。
さらに「大学入試改革」や「AL(アクティブラーニング)」という言葉が盛んにメディア等に取り上げられることで、どうしても初等教育や中等教育に目が行きがちである。
しかし幼稚園教育要領ならびに保育所保育指針、認定こども園保育・教育要領も改正される予定で、保育・幼児教育にとっても大きなできごとである。
これに関しては、
無藤先生のFacebookでの発信は非常に参考になる。
また現在乳幼児期の子どもたちが大学入試を受けるのは2030年前後で、次期学習指導要領の次の学習指導要領も見据えていかなければならない。
その点で、日本の学習指導要領策定にも大きな影響を与えているOECDのEducation 2030も参考になる。
②世界の「流行」
教育を考えるにあたって、それに影響を与える世界・社会の動向は何か?と言われると、「AI」「IoT」等のITに関する回答がよく聞かれる。
もちろん大事なのだが、労働代替等、産業と密接な関係にあるがゆえに大きくメディア等に取り上げられているのだろう。
しかしそれと同じくらい重要な動向は多々ある。
テクノロジーに関するものであれば、ITと同様にBT(バイオテクノロジー)の発展も見過ごせない。
教育哲学の観点からすると、「自分で選んだわけではないのに生まれてきて、さらに生まれ落ちた瞬間にいつか死ぬことを決められている」という「有限な存在」としての人間理解を転回させる可能性がある。
この「いつまでも死なない(死ねない)人間」は教育の在り方に大きな影響を与えるだろう。
テクノロジーから離れても、政治(民主主義)の問題や、経済(資本主義)、文化(宗教・民族)とこれからの数十年にかけて教育の在り方に影響をあてるものは多々ある。
AI、IoTだけでなく、これらの動向にも目を向ける必要がある。
これに関して、G.ビースタの著作は示唆を与えてくれる。